18人のデザイナーが考えるこれからの「杖」のかたち
杖はその歴史の中で、実用的な道具であると同時に象徴的な意味や職人技、革新を宿してきた普遍的なオブジェクトです。本書では、現代社会において「高齢者が持つもの」というイメージが強まる杖に新たな視点を与えるべく、武内経至氏を中心とした18名のデザイナーが自由な発想でデザインした杖を紹介しています。
この一冊には、トリエンナーレ・ミラノのデザイン、ファッション、クラフト部門のキュレーターであるマルコ・サンミケリ氏によるエッセイやミロ・ザニョーリ氏による写真も収録され、杖が持つ文化的意義や美しさを探求しています。
展覧会「walking sticks & canes」
カリモク家具は、ミラノデザインウィーク2024の期間中、Triennale Milanoにて開催された展示「walking sticks & canes」に協賛し、その製作をサポートしました。本展は、ミラノを拠点に活躍するデザイナー武内経至氏が企画し、キュレーションを手掛ける、総勢18名のデザイナーによる杖の展覧会です。本展では、現代社会における杖という道具に対する様々な意味や考え方を紹介することを目的に、世界から集まった18名のデザイナーが自由な発想のもとに杖を1本ずつデザインしました。カリモク家具は本展への協賛に加え、武内氏やアンカー・バック氏のデザインをはじめとする6本の杖を木製にて製作しました。
またKarimoku Commons Tokyoにて、2024年10月12日(土)から10月27日(日)の間、同展覧会の巡回展を開催しました。
武内経至
1977 年、福岡県出身。15 歳からニュージーランドで過ごし現地で高校を卒業後、プロダクトデザインの学士号を取得。その後日本に帰国し、NAOTO FUKASAWA DESIGN に所属。2012 年ミラノへ移住、2015 年には自身のデザインオフィスを設立。 翌年にはエル・デコ インターナショナル デザイン アワード 日本版の「ヤング・ジャパニーズ・デザイン・タレント賞」を受賞。
武内は現在の活動拠点となっているイタリアやニュージーランドの他にも、フランスの大学に留学していた事もあり、彼のデザインに対する考え方も、自然と多文化的な要素が反映されている。多様な角度から物事を見ることができる独自のデザインアプローチは、物事の本質を重要視し、最もシンプルで、且つ人間的な方法で製品の新しいあり方を提案する。さらに彼のデザインは、私たちの日常生活とものとの間を自然に繋ぎ、生活の中に対話を生み出す。武内のデザインに対する考え方は分野の壁を越え、世界のさまざまなブランドから高く評価されている。
Web:www.keijitakeuchi.com
Instagram:@keiji__takeuchi
Marco Sammicheli(マルコ・サンミケリ)
1979年、イタリア出身。大学で建築とデザインを学び、トリエンナーレ・ミラノのデザイン、ファッション、クラフト部門のキュレーター、そしてイタリアデザイン博物館の館長を務める。2018年よりパリの国際博覧会事務局(BIE)におけるトリエンナーレの公式代表を務め、国際展示プログラムの監修を行っている。これまでに、エストゥディオ・カンパーナ氏(上海・パワーステーション・オブ・アート)、ブルーノ・ムナーリ氏(ミラノ・20世紀美術館)、カルロ・モリーノ氏、エットレ・ソットサス氏、アルベルト・メダ氏、マリオ・ベリーニ氏、インガ・センペ氏(トリエンナーレ・ミラノ)など、様々なデザイナーに関する展覧会を手がけてきた。また、デザインに関する単行書や専門的な出版物に多く寄稿し、学術的な視点からも貢献を続けている。ミラノのカトリック大学では教授として教鞭をとり、バチカン美術館との共同プロジェクトにおいて「聖なるデザイン」に関する研究ユニットを率いている。